sの発音は、 上下前歯を閉じた状態で舌先で前歯の間に空間を作りそこに気流の道を作って発音する形になります。単語で言えばseaの[s]の発音です。※sheの[ʃ]の発音とは異なります。

その[s]の発音は舌の位置から、歯の裏に舌を充てる鼻音の[n]と、歯の裏に舌を充てる破裂音の[t]とよく干渉し合います。これが舌の「流水」です。これら3つの発音の間で互いに干渉するルールがあるので、それを見てみましょう。

① tの直後のsがt化する(ツと発音)
② nの直後のsがt化する(ンツと発音)
③ sに挟まれたtが消失する

では、①から見てみましょう。

「Well, think we’ll get some attention now, or what?」

「① tの直後のsがt化する(ツと発音)」のルールの適用にて、「get some」(ゲット サム)が、「getsome」と変化し、発音は(ゲッツアム)となります。「s」の発音が「ツ」となるのです。これは「t」の発音時に舌を前歯の裏に当てながら「s」の発音に移るときに気流の関係上「s」の発音が「ツ」と弾かれてしまう現象です。これは理に適った舌の流水現象と言えるでしょう。

「Since the SOS Brigade was founded, the once empty room of the former literary club now has lots of things in it.」

・once ⇒ onts (ワン

「② nの直後のsがt化する(ンツと発音)」のルールの適用により、単一の単語「once [wˈʌns]」の中でも同様の変化が発生します。単語のアルファベットの並びでは、「n」と「s」は並んでいないように見えますが、発音記号上では、「n」と「s」が並んでおり、発音は「once」(ワンス)ではなく、(ワンツ)と[s]の発音がツと発音されます。これも前例と同じく、nの発音が前歯の裏に舌を当てた形からsの発音に移るために起きる自然な気流の変化によるsの「ツ化」です。

この変化は、ほかの同じ単語

・prince  ⇒ prints (プリンツ
・pronounce  ⇒ pronounts (プロナンツ

でも、同様に発生します。

「Or is it some kind of super-weapon that a race of ancient people created that’s been awakened in our world?!」

anicient(エイシェント)⇒ anchient(エンチェント)

このルールの「sのツ化」は、[ʃ]の発音でも亜種で発声します。例えば、本例の「ancident [ˈeɪnʃənt]」は、nの後に[ʃ]が続きますが、舌の流水を想像すると同じような変化が起こることが想像できます。nの発音である上歯の裏に舌を充てた状態から、[ʃ]の状態に舌を動かすと、[ʃ]でなく「ch(チェ)」に近い発音になります。

ほかの単語でも、同様の変化が発生します。

・insurance  ⇒ inchurance (インチュランス)

「I guess some folks are just strange like that, you know?」

続いては、「③ sに挟まれたtが消失する」ルールです。例文では、「jus(t) strange」と「t」の発音が省略されているのがわかるでしょう。元々、単語の末尾の破裂音(t,d,p,b,k,g)は省略されるルールがありますが、「s」の間に挟まれた「t」音は、舌の流水から想像するように確実に省略される形になります。

「s」の気流を確保した歯に舌をつけない状況から、上歯の裏に舌をつけて、また「s」の状態に戻すという労力のある作業を端から省略させた発音の変化だと理解しましょう。

この前の単語としては、just、next、must、first等の単語が頻出単語となります。

 

 

 

 

 

 

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