Sorcery1 「魔法使いの丘」

さぁ、ゲームスタートです。

意気揚々とSorcery!のアプリを起動すると、ご信託のような夢と共に主人公選択の画面が現れます。

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このスマホ用Sorcery!では、地図上の主人公をタップして移動させることにより、ゲームブックの選択肢を表現しているようです。つまりタップする用の「駒」が必要です。男用と女用の駒が準備されていますが、両方ともアメコミ調の微妙なキャラです。名前をつけるなら、「ゲリ雄(げりお)」か「ゲス美(げすみ)」でしょうか。双方とも、「左利き」であることが気になりますが、ここは細マッチョのストイック系の「ゲリ雄」を選択。先に進みたいと思います。

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旅立ちの朝。いきなりのお出迎えの英文から始まります。これから続く果てしない多読の旅の始まりです。ゲリ雄は眠気まなこながら、英文を解読します。とりあえず、目覚めて準備している感は理解できます。そして、いきなり現れる「選択肢」も既に英語です。まったく、気を抜く間もありません。

しかし、このSorcery!スマホ版。原作でもなかった選択肢が、こんなに細かく用意されているとは驚きです。原作であれば、1ページも使わずにカントパーニの門を越えて出発していたはずです。中々、心憎い演出が続きます。ゲリ雄は、まずは「Test the blade」を選択します。

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ゲリ雄は、自らの親指の皮を切らせて、自らの剣の切れ味を確かめます。これから続く果てしない旅路。自らの命を守るのは、この一振りの剣です。目覚めて必ず行うこの所作。この用心深さが、ゲリ雄の命を今日まで永らえてきた証拠とも言えるでしょう。

ゲリ雄「親父・・・。いい仕事をしている」

「blacksmith:鍛冶屋」という知った単語が出てきて、何とか英文の意味を追っていけています。ちなみに、ブラックスミスが鍛冶屋という意味は、昔スミスさんという鍛冶屋が居たからという意味ではありません。英語のスマイト(smite)(叩く)を語源からsmithとなったわけです。black(黒)が使われているのは、鉄の精錬が進んでいなかった時代は、鉄は黒っぽかったからです。ゲリ雄は、刀身の黒い光を見つめながら、彫りの深い顔で何を見つめているのでしょうか。ヘタレのゲリ雄は、次いで「Pray for luck」を選択します。

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ゲリ雄「僕は大丈夫。僕は大丈夫。僕は大丈夫・・・」

毎朝捧げる祈りを続けます。英文の中には、神の名前らしき物があります。「Panther」。連想するものはピンクパンサーぐらいしかありませんが、原作にも「リブラ」という制度がありました。好きな時に体力を回復させる俺ルールみたいなアレです。きっとそれと関係しているのでしょう。

ここまで旅立ちの一シーンだけで、すでに英語100Wordを読んだゲリ雄であります。「多読は辞書を引くな」という有難い大学教授の教えどおり、Google翻訳でざっと辞書を引いて、気になる英単語の意味をおさらいすることします。

ファイル_007★この通り、Google翻訳では、単語単独のみならず、英文全体の意味も訳することが可能です。

さて、今後の旅の中でも出て来そうな単語の意味を追っていきます。1度調べていれば、次は意味を調べなくてもいいかもしれません。用心深いゲリ雄は、そう思い、幾つかの単語を指でタップして行きます。

pause:一時停止する

blacksmih:鍛冶屋

hut:小屋

outpost:前哨

settlement:居留地

prayer:祈りの言葉(祈る人ではありません)

多読では辞書を引くなという有難い大学教授の教訓を無視し、僅か30秒ほどで意味をなぞると、ゲリ雄は軽く鼻で冷笑を浮かべながら、自らが長年寝床をしていた小屋を出ます。小屋を出るとアナランドの居留地の集落の地図に、ぽつりとゲリ雄の駒が置いている画面に移ります。

ゲリ雄「なるほど・・・」

どうやらゲリ雄は一目このマップ画面の構成を見ただけで、このゲームの仕組みを一人理解し、ほそく笑んだようです。

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左上に、「STAMINA」「GOLD」「RATIONS」と書かれたフラグらしきもの。真ん中の下には幾つかのアイコン。そして、右上には「PANTHER」と書かれた紋章らしきもの。そういえば、先ほど神らしき名にその名前がありました。ゲリ雄は躊躇なく、右上のアイコンをタップします。

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spiritと書いています。spiritには、心、霊魂、精霊、神という意味があります。リブラの加護と何らかの関連性のあるステータスと言えるでしょう。赤字で書いている「no aid」とあるので、いつかこのアイコンも旅に役立つ時が来ると、ゲリ雄も考えたのでしょう。今だ、ほそく笑みながら頬骨をさすったりしています。そして、ゲリ雄はおもむろに、自身の駒をタップしました。それも、目の前にある青いフラグに対してです。

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青い旗には「The outpost settlement」と書かれています。ここはアナランドの中でも、魔物たちが徘徊するシャムタンティと隔てる壁がある地区であり、監視所などがある地区です。そういう物騒なところにまるで秋風の元、軽い歩調で散策に出かけるような面持ちで歩みを進めたのです。そう。ゲリ雄とはそういう男です。そんなゲリ雄を見守る群衆たちが憧れの視線で、ゲリ雄の姿を追います。

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まず整理をしましょう。何故、ゲリ雄がこのアナランドを旅立とうとしているかを。ここの英文にあるようにある「mission」を持ち、ゲリ雄はこのカントパーニの門から旅立とうとしているのです。その「mission」とは何か。それは、「王たちの冠」と呼ばれた盗まれた秘宝を取り戻すため、一人単独で遠い「マンパン砦」と呼ばれる敵地まで向かう使命を、このアナランド王から託されたのです。

stride:大またで歩く

tiny:ちっぽけな、とても小さい

ゲリ雄を見つめる畏敬の眼差しは、その使命を知っているから故。だからこそ、周りに集まった群衆たちはゲリ雄を期待と不安の眼差しで見つめているのです。そんな群集たちに、ゲリ雄はもちろん「ignore them」を選択します。男らしいです。

ゲリ雄「・・・・・・・・・・・・」

すると目の前に、ゲリ雄の行く手を阻むように一人のコスプレ男が現れました。往年のSorceryシリーズの読者であれば、目頭を押えて懐かしむ挿絵が、当時の原書のままにスマホ版にも採用されていました。そう。サイトマスターです。

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1980年代のセンスで着飾ったサイトマスターが、この21世紀の今でもゲリ雄の前に立ちはだかります。アナランドの国境を守る精鋭部隊。これから単独行動を行うゲリ雄の前途を祈り、旅立ちに向けたアドバイスをくれる役割の人物ですが、ゲリ雄は「Get out of my way」とにべも無く目で威圧をします。

ゲリ雄「退け・・・・・・」

流石です。いかします。

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growl:〔動物が敵に〕うなる

サイトマスター「おっと、時間は取らせやせんぜ、旦那」

何故か江戸弁のサイトマスターは、旅の支度金として、アナランド王から金貨24枚を預かっていると言いだしました。金貨と聞いて、守銭奴であるゲリ雄の眉が動きます。しかし、周囲から羨望の眼差しを受けている公然の場。金に汚いと罵られるなど、狭量なゲリ雄には耐えれません。震える手で「Refuse it」を選ぶゲリ雄。

ゲリ雄「施しは受けない。失せな・・・・・」

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それでも食い下がるサイトマスター。これからの旅に必要な金の重要性をしつこく訴えてきます。選択肢は二つ。ゲリ雄はもちろん「Anakand need not fear」を選ぶでしょう。

ここでのneedは助動詞。助動詞のneedは肯定文では使うことはできません。必ず、疑問文か否定文でしか使うことが出来ないのが、助動詞のneedです。肯定文で使う場合は、一般動詞のneedを使います。多読では、ポイントポイントで、過去勉強した文法も思い起こしながら、読んでいくのがベターです。

ゲリ雄「くれ・・・・・・」

ええ!? ゲリ雄は、小声で「Give it to me」と呟きました。背中を影にし、群衆に見つからないように脇の下から手を出し、奪うようにしてそのpouchを奪い取ります。時には自身の矜持すら破棄することが求められる厳しい旅路を、ゲリ雄は背中で我々に教えてくれているのでしょうか。群集の目から隠れるように背を丸め、必死にポーチの中身の金貨の数を数えたり、噛んだりしているゲリ雄。さすがプロです。

pouch:小袋、[他]~を小袋に入れる

sergeant:軍曹

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そしてサイトマスターの隊長は、往年のファンには懐かしいワード「spellbook」を含めながら、次の選択肢を示してくれます。まだ一筋縄でこのアナランドを出ることも適わないようです。

ここでのshould youは、ifが省略されています。自然な口語では、省けるところは省くのが英語です。多読の通しながら、一つ一つの空気を肌で感じるゲリ雄です。

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3つの選択肢ですが、ここは一つ一つ訪問できそうなので、順を追って廻っていきましょう。ゲリ雄は、まず「Buy Rations」を選択します。Raionsは複数形で使うと「食料」という意味になります。Sorcery!では、必ず複数形で使われていますので、意識をしていきましょう。頬骨が出た痩せこけたゲリ雄です。きっと万年下痢症なのでしょう。ここは、しっかりと食べて頂き下痢を治して貰いたいものです。

IMG_0487  薄汚い店に案内されるゲリ雄。お目付け役のようにサイトマスターも後ろについて来ているようです。店の表現で、stallという単語を使っています。売店という意味もありますが、馬小屋という意味もあり、そう立派な店構えではない雰囲気です。そして、店主は「Two Gold pieces per ration」と吹っかけて来ます。ちょっと高すぎじゃないでしょうか。守銭奴のゲリ雄もそう思ったのか、迷わず選択肢の「Haggle」を選択します。

stall:売店、露店;馬小屋、牛舎

piece:硬貨、コイン

haggle:値切る

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ゲリ雄「俺を誰だと思っている? アナランドの英雄だぞ」

真顔で歯の浮くような台詞を吐くも、店主はにやけた顔をしながら、「あっしにも家族がおりまして」と気まずい表情で惚けるばかり。ゲリ雄は、店の商品である並んでいるパンに唾を吐き捨て、「Buy nothing」を選択します。いいです。いかします。

uncomfortable:気まずい

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捨て台詞も最高。

ゲリ雄「お前の子供は飢えて、明日焼き殺されるだろう」

まったくアナランドの英雄の台詞とは思えません。でも、そこがゲリ雄の憎いところなんでしょう。結局、些細ないざこざで、食料すら手に入れられなかったゲリ雄。頬はますますこけて行くのでしょうか。そんなゲリ雄が向かったのは、次は「COLLECT MY SPELLBOOK」です。collectとは、「集める」という動詞です。どういう意図で使われているか不明ですが、まずはそこの青旗へ向かってみましょう。あ、待って下さい。ゲリ雄。

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また、hut(小屋)が出てきました。Sorcery!では頻出の単語なので、もう辞書を引かなくても大丈夫ですね。この文章を読むと、何とSpellbookをゲリ雄のために準備していたかのような記述です。原作のSorceryでは、Spellbookは門外不出。もしアナランドより持ち出し、旅の途中で紛失した場合、禁忌の魔術の漏洩の危機として持ち出しは禁じられていたはずです。ですが、最近のゆとり世代・スマホ世代は、そんな時代錯誤な制約は敬遠されてしまい、消費すらしてくれない世知辛い世の中ということなのでしょうか。つまり、ゲーム中はいつでもSpellbookをチェックすることが出来るということでしょうか。往年のソーサリーファンのスタイルとしては、少しがっかりですが、まぁ皆ずるをして来ていたので、ここは敢えて問わないようにしましょう。

emanate:~を発する、~を発散させる

<英語多読:Sorcery!攻略 2日目「旅立ち2」>に続く。

 

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