それでは、具体的にどのような音読スタイルが、リスニング力向上に繋がるのかを開設したいと思います。
私は、この手法を「アニメ英会話」と名づけて活用しています。
ストーリー性のあるアニメを教材に用いることにより、エピソード記憶による効果も期待できます。
場面、場面の臨場感溢れるシーンにおけるプロの声優さんたちのセリフは、無味乾燥な英語教材よりも、よほど脳内に響き渡ることでしょう。
またその主人公やキャラクターになった気分で、「シャドーイング」を行うと、よりエピソード記憶化された「擬似体験」効果により、楽しく無理なく継続して学習を続けることができます。
「シャドーイング」と「音読」という2つの学習方法がありますが、軽くその2つについて説明します。
双方とも、耳から入る「音韻表像」を「内在リハーサル」する訓練に相当します。
繰り返し訓練していけば、「リスニング・スキル」の向上が認められます。
「シャドーイング」と「音読」、どちらの方がどう違うのかと言えば、「シャドーイング」のほうが脳に対する負荷は低く、「音読」のほうが難易度が高いと思って貰っていいと思います。
何故、シャドーイングは難易度が低いのか?
音を使った英語学習は、前にも述べたとおり、適度な難易度というのが大事です。
つまり、脳に負荷を与えることが学習の基礎となります。筋トレと一緒です。
シャドーリングは、謂わば、筋トレの場にトレーナーが隣に居て、バーベルを支えてくれたり、補助をして貰っている状態に似ています。
例えば、難しい英語の発音やくだりがあったりしても、音声はどんどん進んでいきます。
わからないところはわからないまま放っておいたまま、どんどん教材は進んでいきます。
完璧主義を求める学習教育者は、その都度止めて英語の解説をしていきますが、ラノ単主義では英語学習に完璧を求めていません。
わからないところは、「嗚呼、そうですか」ぐらいの感覚で、音声教材が突き進むまま、口パクで音声を真似ていくだけでも「内在リハーサル」の訓練になるからです。
確実に、リスニング強化に必要なミラーニューロン細胞は、増殖していきます。
ミラーニューロン細胞が強化・増幅されてくると、シャドーイングの中でも「慣れ」が発生してきます。
脳への負荷が低く感じられる瞬間です。その状態では、脳の空きの処理能力を使って、シャドーイングをしながらも別のことを考えることができる状態が来ます。
この空き処理容量を使って、今までわからなかった単語の意味や発音の変化に注力することにより、それらがブローカ領域にて「顕在記憶」化する処理に廻されてるのです。
翻って、音読の難易度が高い理由は?
シャドーイングが、筋トレにおけるトレーナーが居たと例えましたが、音読はそのトレーナーが居ない状況です。
例えば、ダンスの先生を見ながら真似て踊るのがシャドーイングとしたら、音読はその実例を頭に思い浮かべながら踊るようなものです。
ですが、「音韻表像」という記憶は優れたもので、何度も何度も聞いているとヴェルニッケ領域に音韻符号としてワーキングメモリ化されていきます。
フリーザ様の声色で、全ての台詞を脳内再生できるのも、ここにワーキングメモリ化されているからです。
音読は、そのメモリを使って、そっくりに自分で再現する作業になります。
ですが、音像とスペルが一致させるのは非常に難しい作業であり、脳にとってはシャドーイング以上の負荷がかかることになります。
できない部分があると、そこで詰まってしまい、学習に時間がとてもかかる形になります。
ですが、声に出して音を発音することは、内在リハーサルの実演でもあるため、シャドーイング以上にミラーニューロンを刺激する訓練になります。
以上の音読による脳への効果を理解したうえで、音読学習を一生続けていきます。
単語/文法/発音が、一定以上の実力(TOEIC900レベル;英語の初心者レベル)に達したら、後は無限にあるアニメを教材にして、一生音読学習を続けていくことになります。
では、次回からは「アニメ英会話」の教材作成ステップについて、紹介していきます。