まず「音読」の効果を説明する前に、音声知覚における脳の動きを説明します。
正直、脳における研究は進んできたとは言え、まだまだ未知の領域が残るのが脳です。
現在、脳科学でも発表されているのは「仮説」にしか過ぎず、それが正しいかどうかもまだ証明されていません。
ですが、「仮説」でもいいので、脳とはこういうものだと方便として理解したうえで、すっきりして「音読」に取り組む意義はあると思います。
「音読」をしながら、「一体この行為が何の意味があるのだろう」と疑問に思いながら学習に取り組むと、集中力も半減してしまうからです。
ここで説明することも、こういうものなんだ、と理解してから音読に取り組んでいきましょう。
まず、音というのも記憶の一つとして脳に蓄積されます。
英単語をただ只管、目で追って記憶する場合と、音から記憶する場合では、同じ英単語であっても記憶される領域が異なります。
音に関するInputされた記憶は、「音韻表象」と言われます。
あなたが過去みた映画やドラマの名セリフ。その役者や声優の声の質、抑揚なども含めて、記憶されていることに気付いていますか?
「十倍返しだ!」
某ドラマの某役者の名セリフですが、ドラマを見た方であれば、結構な年月が経っているにも関わらず、役者の声や抑揚なども含めて、案外記憶できていることに気付かされるでしょう。
「音韻表象」で記憶されたものは、目で覚えた記憶に比べて、何倍も情報量があるにも関わらず、きっちりと記憶に定着しています。
また、応用力もあります。あなたがドラゴンボールというアニメの悪役フリーザの声を覚えていますか?
「ドドリアさん。そこのコロッケを取って貰えますか?」
どうですか?フリーザ様の声で、上記のセリフを簡単に脳内再生できたことでしょう。
英語を学習する際は、「音韻表象」を活用した学習法が絶対に効率的なことは言うまでもありません。
その基本となる学習が「音読」となります。
ラノ単式英語学習においては、「音読」の教材は北米版のアニメDVDを材料とします。
アニメのキャラクタの各セリフが、生の英語で耳に残る状況がまず「Step1」となります。
脳科学的に言えば、「音韻表象」がヴェルニッケ領域において、ワーキングメモリ内で「音韻符号化」している状況と言えます。
フリーザ様の声質で、ありとあらゆるセリフが脳内再生できる状況といえば分かりやすいでしょう。
続いての「Step2」は、「音韻符号化」した情報を自らの口で復唱していく訓練になります。
この効果は、ミラーニューロンを中心としたリスニングに必要な「内在リハーサル」機能を訓練するだけでなく、音読される文章の中にある単語や表現などを長期記憶化させる「潜在記憶」化させるトレーニングにもなります。
脳科学的に言えば、ブローカ領域の中において、「音」と「意味」を繋げる訓練となるわけです。
すなわち「音読」を実施すれば、「運動ルート」における「音韻符号化」の強化と、「音響的ルート」における「潜在記憶」の強化を同時に行えることができるだけです。
よくわらかないと思いますが、要は脳科学的にも「音読」は、リスニングに必要な脳の細胞を鍛える最適のトレーニングだということが、証明されてきているということです。
では、次回では具体的にどのように音読学習を進めていくかの実践論について、説明したいと思います。